この記事では盲目の人、色盲の人、そして夢を白黒で見る人について最新の研究でわかっていることを書いていきます。
盲目の人がみる夢
1999年にハートフォード大学の研究者たちが15人の盲目の人が見た合計372回分の夢を研修しました。その結果、生まれつき盲目の人と、5歳未満の時点で目が見えなくなったという人は視覚的な夢を一切みていませんでした。
それは、人が見る夢はすべて現実世界の経験と、心の中の考えや、不安や欲望から成り立っているからです。よって、一度も光を見たことがない人や覚えてない人は夢でもそれを再現できないのです。
しかし、7歳以降に盲目になった人は、私たちと同じように夢を知覚しているようです。目が見える状態で長く居れば居るほど、盲目になってから視覚的な夢が見れる期間が長くなり、老人になってから目が見えなくなった人は、鮮明な夢を何年間も見続けることができます。
5歳と7歳の間に盲目になった人に関しては、結果がバラバラでした。視覚的な夢を見る人も居れば、見れないという人もいました。しかし、視覚的であってもそうでなくても、すべての人が豊かで創造的な夢を体験したことが記録されています。
視覚の代償
では、視覚的な夢がみれずにいったいどんな夢を見れるのでしょうか?目が見える人にとっては少し想像がしずらいかもしれません。ただ言える事は、盲目の人が見る夢はその人が体感している世界を表していて、音、触覚、匂い、感情で溢れています。
視覚がない代わりに、脳波自動的に残っている感覚に力を注ぎ、埋め合わせをします。それによって自分の周辺を細部まで理解できるようになります。コウモリが超音波を放って周りを認知するのと同じような感じです。それにより、夢の中でも鮮明な世界が再現されるのです。
夢に関するある調査では、盲目の人のうち60%の人は、移動をしている夢を見るとのことです(対して目が見える人は28%)。目が見えない人にとって、移動というのは危険が伴い、緊張する場面なので、その心理が影響しているのでしょう。
停止されたREMの謎
視覚的な夢が見れない人は、REM睡眠の間に、目がほとんど動かないという報告があります。視覚以外の感覚では鮮明な夢を見ていても、目は動かないのです。
この事実から、REM睡眠中に私たちの目が動くときは夢の中で目を使っているということがわかります。
色盲の人は、カラーの夢を見れるのか?
色盲の人にとって夢はどんなものなのでしょうか。
これは先ほど書いたように、夢はやはりその人の現実世界での体験で得た情報から生っているので、生まれつき色盲の人は夢の中でも白黒で見えます。そして、生まれつきではなく途中で色盲になってしまった人は、しばらくの間はカラーで夢を見ることはあるようです。
興味深いのは、途中で盲目になった人の夢の中で、月日が経つごとに知人の顔がボヤけてくるそうです。そして、全然何年たってもその顔は老けてこないのです。
白黒の夢
あなたはカラーで夢を見ていますか?目が普通に見えるひとにとってはちょっと変な質問かもしれません。現実世界でカラーで見えているから、当然夢もカラー・・・なのでしょうか?
面白いことに、2008年に行われた調査によると、白黒のテレビを見て育った時代の人は、白黒の夢をたまに見ることがあったそうです。現実世界でカラーで生きていても白黒の世界を頻繁に見ていると夢にも影響がでるのです。1960年ごろにはカラーのテレビが普及しはじめ、白黒の夢を見る人は少なくなりました。
前日に見た夢の色のことを思い出せなくても、それが白黒だというわけではありません。それた単純に色という情報を脳が思い出せないだけだという可能性が高いです。もしそういうことがあるならば、明晰夢を見れるように訓練すると改善します。
盲目でも明晰夢は見れるの?
おそらく見れます。盲目の人は、目が見えるひとと同じくらい自己認識ができます。むしろ、健常者には”予備”のように扱われている感覚が研ぎ澄まされているので、盲目の人のほうが自分の周りの環境に対する意識が優れているかもしれません。
ということは、夢の中で夢だと気づきやすい体質ということです。盲目の明晰夢ってどんなものなのでしょうね。