身体的な感覚

起きている間、あらゆる情報と刺激が五感を通じて脳に信号を送っています。今あなたの足が地面に付いている感覚も、近くにある海の匂いも、あなたが体感していることはすべてあなたの五感が感じ取り、どんどん脳の膨大な記録装置に蓄積されていっています。

夢を見ている最中は、起きているときに蓄積した記憶により脳内で再現された世界の中にあなたはいるのです。たかが再現された偽物の世界と思うかもしれませんが、明晰夢では現実のようにすべてが本当にリアルに感じます。あまりにリアルで刺激的なので、多くの初心者はまず明晰夢でエッチをしようと試みる傾向があります。

明晰夢での味覚

cakeあなたの中で、世界で一番リッチでクリーミーなチョコレートケーキを想像してみてください。甘いものが苦手の方は大好きな食べ物を想像してください。その食べ物の最も美味しそうな状態を想像して、よだれが垂れそうな感覚をさらに強くしたものが明晰夢での味覚に近いです。

明晰夢の中で食べ物を食べるとき、噛む時間と飲み込む時間にかかる時間が短縮されて、その味を味わう瞬間に重点が置かれます。さらに、舌がどんな味にも慣れることがないので、一口一口が毎回「最初の一口」のように感じて本当においしくて絶品なのです。しかも、カロリーとかコレストロールのことなんて一切心配しなくていいのです。

もちろん、チョコレートケーキ以外にも何でも食べることができます。小さいころに食べた思い出の食べ物とか、更には一度も食べたことがないような物まで食べることができます。あくまで脳内の記憶を元に再現された世界なので、それが実際ものものとでも同じ味がするとは限りらず、夢の中ではあなたが期待しているような味になります。
つまり自分の中での「おいしい」という期待があるからこそおいしく感じるということです。

明晰夢で空を飛ぶとき

flyingスカイダイビングなどの過激なエンターテイメントを経験したことがある人以外は、空を飛ぶという感覚を知らないはずです。なのに、明晰夢では空を飛ぶことができ、しかも驚くべきディテールでリアルな体験をすることができます。

明晰夢で空を飛んでいるときは、無重力な感覚と風の感覚が信じられないほどリアルです。すべては脳によるシミュレーションなのですが、例えば突然脱力して落ちるときにお腹がムズムズする感覚さえも感じるます。

髪の間をすり抜ける風や、肌に強くあたる雨や、顔を照らす太陽の温かみもその体験をさらに素晴らしいものにしてくれます。
逆に、空を飛ぶことに自信がなかったりすると、突然電線にぶつかってしまったりすることさえあります。
明晰夢で空を飛ぶ詳しい方法はこちら

明晰夢で感じる痛み

pain明晰夢は二つの要素で成り立っています。一つは潜在意識(無意識)。もう一つは自己意識です。普通の夢では潜在意識が夢の大半をコントロールしています。でも明晰夢では自意識がその世界に入り込んで自分の好きなように夢の流れを変えていくことができます。

潜在意識も自意識も、それぞれ夢の中で痛みを作りだすことは論理的には可能ですが、ほとんどのケースは潜在意識によるものでしょう。少なくとも夢のなかで自ら痛みを感じようとする人を私は知りません。痛みは既に発達された神経経路によって予想された結果です。例えば、親指をカナヅチで叩いたらどう感じるか想像してみてください。今、あなたの脳内でその痛みが再現されましたよね?

もし夢の中で針の山に落ちることがあったとしたら、そのとき初めて突き刺される痛みがどのようなものか知るかもしれません。でも恐れる必要はありません。明晰夢では、いつでも痛みを瞬時に止めることができますし、望めば目を覚ますこともできます。 それに、多くの場合その痛みは現実よりも大分抑えられて感じるものなのです。

明晰夢の中での痛みが現実と違う部分は他にもあります。例えば夢の中でシーンが変わると、その瞬間にいつのまにか痛みが消えたりします。更に、現実での痛みには精神的なダメージも加算されていますが、明晰夢ではそれが無いので痛みもその分かなり軽減されるのです。

ある体験談では、悪夢のなかで明晰夢になり、溺れているときに夢の中で体外離脱をしてまったく苦痛を感じなくなったとものあるので、痛みや苦しみの対処法はいくらでも考えられます。


精神的な体感

ここまでは明晰夢の中での五感がどのようなものかについて書いてきましたが、
ここから先は明晰夢の中での自分の精神状態について書いていきます。
夢の中で自覚することはどんな感じなのか、どんなことを考える傾向があるのか、自分の記憶はどうなっているのか、という内容です。

明晰夢での自覚

mirror明晰夢の中では、普通の夢に比べて多少精神的な焦点が広がっている感じがしますが、現実世界に比べるとかなり違います。

例えば、今私は起きていて、机の前に座っていて、自分がいる部屋の事を把握していますし、この家の外にある近所の家の存在も把握していて、住んでいる街の大凡の全体像と、日本という国と、なんとなくですが地球に住んでいるいう感覚もあります。つまり、この世界の中でどこに居るのかということが割と明確に認識できていて、その世界観は固くて崩れないものです。

一方、明晰夢の世界観にはもっと流動性があります。明晰夢の中では大体知らないところに居て、それが何処なのか全くわかりません。でも、場所を知らなくても意図的にどこにでもテレポートできるので、そこに居ることを受け入れることができます。というか、そもそも脳が場所を把握しようとしないのです。それよりもその場その時だけを認識しようとします。これに一番似ている感覚といえば、ゲームや映画の世界に集中しすぎてその世界に入り込んだときのような感じです。

当然自分が夢の中にいることを自覚していますので、そのとき実際は家のベッドに寝ていることはわかっていて、次の日の仕事の内容とかも思い出せます。

でも、せっかくなのでその夢を楽しもうとするのが人間のデフォルトになっているようです。夢の中で何の準備もなしに全く新しいシーンを創造することは少し難しいので、起きているときに予め意図的に見たい夢に向けて準備をしておくと便利です。もしどんな夢でもいいのであれば潜在意識に任せて無限の可能性を見せてもらうのがいいでしょう。

明晰夢の中での記憶

記憶夢の世界では記憶の感覚が現実とは違います。普通の夢だと、現実世界の記憶はほとんどなく、ときには夢のシナリオの辻褄を合せるために嘘の記憶を作りだすことさえあります。明晰夢でも、これの一つか二つ上のレベルぐらいでしかありません。

明晰夢に入った瞬間に現実世界の記憶を思い出そうとすると、直近の事しか明確には思い出せません。たまにそれさえも思い出せないこともあり、そういうときは夢の中の登場人物に聞いてみると何かしらの手がかりがあるかもしれません。でも思い出せなかったら思い出せなかったで、夢の世界を楽しめばいいのです。

夢の中で思い出したい記憶があれば、それを思い出せるように事前に準備しておくことができますが、そのようなことをしていない場合はそもそも昔の事を思い出そうという発想に至りにくいです。そこに思考の焦点がいかないという感じでしょうか。過去をさかのぼる記憶だけでなく、遠い未来の事も夢の中ではなかなか想像できないです。ただただ、その時の「今」がすべてという感じです。

夢のコントロール

コントロール勘違いをしている人がよく居ますが、明晰夢に入ったからといって、自動的にすべての要素をコントロールできるようになるわけではありません。明晰夢というのはあくまで自分が夢の中に居るという自覚ができた状態のことを指しています。時には色んな要素を自分で変えることができて、時にはいくつかの期待に応えてくれる程度で終わるかもしれません。そして時には夢の要素を全くコントロールできないということもあります。

夢を見るとき、すべての要素を自分で想像する必要はありません。ひとつひとつの落ち葉や、空に浮かぶ雲はほとんど自動的に潜在意識が現実世界を再現してくれます。鳥たちは自分たちの意思で飛んでいるように感じます。このようにすべてを自分がコントロールしていなくとも、それは明晰夢だと言えます。

初心者の人はよく、まだ完全に明晰になる前に夢の大きな要素を変えようとしてしまいますが、そう簡単にはいきません。明晰夢を長引かせるテクニックがあるのでそれを使う必要があるのですが、それについては後々説明します。(明晰夢を長引かせる方法

夢をコントロールできるようになれば世界はもうあなたのものです。手を振るだけで空の色を変えることができたり、地を掘って地球の中心への旅をしたり、ゾンビを相手に闘ったり、新しい文明を築きあげたり、とにかくなんでも可能になります。あなたの脳内の想像力が唯一のリミットです。

例えばもし私があなたに「明晰夢の中では絶対に太陽まで飛んでいくことはできない」と言ったとして、それをあなたが本当に心の底から信じたとします。その状態で明晰夢に入り、太陽まで飛んでいこうとすると、見えない壁とか、何かしらの要素に止められたりする可能性が高いです。

夢のコントロールの限度は、あなたの「予想」がすべてです。意識的に結果を予想していないことに関しては、潜在意識が勝手にその穴を埋めてくれます。


感情の感覚

ここから先は明晰夢では感情面がどのように感じるのかを書きます。

明晰夢の中での自分の感情は、現実で感じるものとほぼ同じです。唯一違うと言えるのは、あまりにも素晴らしい時間を過ごしているため、ほぼ常に快感、興奮、欲望、感謝、愛などと言った、ふわふわした感情でいっぱいということです。

興奮しすぎる

興奮しすぎ
最初の何回かは、明晰夢に入ったことに興奮しすぎることが原因で目が覚めてしまうことが多いでしょう。明晰夢に入ったとに気付いた瞬間、飛び上がって喜びを叫び、周りに居る人に自分が夢の中に居るということを知らせようとしてしまうのです。

なので最初のうちは、自分を落ち着かせるように特に気をつけなければいけません。嬉しさのあまり、走り回ると目が覚めますのでご注意ください。

でも何度か明晰夢を経験すると興奮を抑えれるようになります。そして慣れてくると自分の感情にリミットをかける必要もなくなり、自由に感情を味わうことができます。ただまずは、夢の中にいつづけれるだけの集中力を身につけることが大切です。

更に高い領域へ

高い領域ある程度明晰夢の中で遊んだ後は、自然と更にその世界を深堀りしたくなってきます。
(深堀りしなくても永遠に楽しめるだけのポテンシャルはありますが)
明晰夢を深堀りするというのはどういうことかというと、夢自体とコミュニケーションをとるということです。つまり、自分の潜在意識と直接会話するということです。肉体的な欲望ではなく内面的な要求をするのです。

例えば「自分が最も安心するのは?」という質問や、思い切って「私の一番の恐怖は?」なんていうことも聞いてみるのもいいでしょう。
そうすると、夢がそれを何かしらの形であなたに見せてくれるでしょう。このようなことをすると、自分について夢から覚めても深く考えさせられるようなことが分かってくるのです。

こんな良いごとづくしの明晰夢ですが、それを危険だという人もいます。
次項では明晰夢の危険性について書きます。

次項「明晰夢の危険性」