ビジュアライズ(想像)することは、WILDテクニックを実践するときや、瞑想をするのに大切な要素であり、明晰ではない通常の夢にも影響を及ぼす力を持っています。

何も気にせずに自然とビジュアライズをすることができる人も居て、そういう人にとってはここで紹介する練習方法は読んでも当然のことのように感じるかもしれません。

逆に、「何かを想像する」ということ自体か不可能に感じるという人もいるのも事実です。この記事ではそういう人のために、細かくステップを分けてやり方を解説しますので、是非実践してください。

この練習が全ての人に確実に効果があることは保証できませんが、私自身はこの方法で上手くビジュアライズすることができるようになりました。

また、記事の後半では視覚的ビジュアライゼーションが苦手な方のために、音、感触、味、匂いを元にシーンを想像くる方法もご紹介していきます。

練習1 フラッシュ ビジュアライゼーション

突然ですが、あなたの家の玄関はどんな外観ですか?

たった今、あなたの脳内に玄関のイメージが浮かんだはずです。
目で見たときはほどはハッキリしていませんが、なんとなくの形や特徴が浮かびますよね。

物によっては写真のように鮮明に映る場合もあり、目を瞑ったり、違うところに目をやったりせずにも脳内でそのイメージを見ることができます。これはあなたの「思考の目」です。

練習2 詳細なビジュアライゼーション

例えば、「木を想像してください」と言われたら、おそらくあなたの中では、モヤモヤとした特に種類も特定できないような木が映ると思います。

ではレベルをあげて詳細なビジュアライゼーションをやってみましょう。

まず目を瞑るか、手で目に被せて光が入ってこないようにしてください。そして、大きな幹に黄色い葉っぱの楢の木を想像してください。
10月の晴天で、何もない草原にポツンと立っています。
青い空の中で葉っぱが揺さぶり、葉っぱ達が天蓋のようになびくのをみていると、風の形さえも見えてきそうです。

さて、最初に想像した木よりも今回は随分とディテールをビジュアライズできたかと思います。このようにディテールまで想像する力がビジュアライゼーションの力を最大限に引き出してくれます。

この記事の後半では、視覚以外の五感を呼び起こし、実質的に自分がそのシーンに入り込んだようにする方法をお教えしますので、是非最後まで読み進めていただければと思います。

ビジュアライゼーション 本当に見えているの?

自分にはビジュアライゼーションなできないと思っている人によく聞かれるのは、本当に想像したものが脳内で見えているのか?ということです。

そしてその質問を追って、それは写真のようなのか?テレビのよつなのか?実物のようなのか?動くのか?色はついているのか?考えるのをやめるとすぐ消えるものなのか?という疑問がついてきます。

この答えを言うと、余計混乱させるようなことになってしまいそうです。というのも、想像は完全に主観的なもので人間の言語では想像の中のもののリアルさの度合いを説明する言葉が存在しないからです。

でもなるべくシンプルに答えると、想像したものは脳内で見えています。でも場合によりますので、それについて説明します。

ビジュアライゼーションの三つのレベル

ビジュアライゼーションは3つのレベルに分けられると思います。

レベル1 思考の目

最初のレベルは単純に脳内で何かのイメージを思い出すことです。

これは単なる「思考」にすぎず、「見える」というほどのものではありません。例えば、虎の顔を思い出したときに、虎の顔の概念だけが頭に浮かびます。

思考の目

上に書いた、自分の家の玄関を思い出すときや、自分が愛する人の顔を思い出すときも同じ感じです。

このレベルのビジュアライゼーションは、想像上の刺激を回想しているだけなので、いつでもどこでも可能です。

視覚以外にも、聴覚(ある曲があたまから離れなかったり)、臭覚(好きな食べ物の匂いを思い出せたり)、味覚(トマトスープの味を想像したり)、触覚(マジックテープを触ったらどんな感じか想像できたり)と、五感すべてに対応しています。

レベル2 ヒプナゴギア

目を瞑って体をリラックスさせると、脳が眠りに誘導してくれます。疲れていたり、睡眠が足りてないと特にそうです。そうすると、ヒプナゴギアの状態になり、渦巻く光や、幾何学模様が見え始めます。それに加えて、音が聞こえたり微妙に動いているような感覚になることもあります。

この状態であれば、更にリアルなビジュアライゼーションができるようになります。集中して虎の顔を思い浮かべようとすると、ボヤッとした蛍光色の形が瞼の裏に浮かびます。そして更にディテールに注目しようとすると、輪郭がハッキリして、鼻から放射状的に流れるような柄も見えてきます。

放っておくとそのイメージが自ら動いたり、全く別のものに進化することもあります。ヒプナゴジアの状態でのビジュアライゼーションの特徴は、想像するイメージが流動的で連続性があるというところです。

このレベルのビジュアライゼーションでは、蛍光色の虎の顔が暗闇の中で浮かんでいるのが見えます。大分吹っ飛んではいますが、ハッキリとしていて確かに見えています。

ヒプナゴギア

恐らく誰でもある程度はこの状態を経験したことがあるかと思います。忍耐があれば、かなり深いとこまで世界に入り込めます。

レベル3 明晰夢

ヒプナゴギアから大きな一歩をとると次のステージに入ります。

それは、意識もあり起きているのですが、身体だけが眠りにつき、夢の思考がビジュアライゼーションを乗っ取り、高解像度の世界に切り替わります。

luciddream

この状態になるのにベストなタイミングは、夜中に目が覚めてしまったとき、早朝、昼寝直後のボケーっとしている時、など、うとうとしているときです。
まずは、WILDテクニックに従って、夢で見たいシーンを想像します。思考の目を使っている状態であれば、どこかの景色を思い浮かべ、既にヒプナゴギアの状態であれば、よく知っている人の顔などを思い浮かべます。

そうしていると、徐々に身体の感覚がなくなりますが、ここで意識を失わないようにすることが必須です。その世界に浸っていくと、変性意識状態になります。虎の顔は突然フルカラーになり、として自分と虎の居る空間も、自分の部屋という認識から、完全に夢の世界になります。この時点で私は意識的にビジュアライゼーションをしているのではなく、意識的に夢をみているといくことになります。

複数の感覚を利用したビジュアライゼーション

上の例では、視覚だけを使って虎のビジュアライゼーションをしました。
ほとんどの人は想像をするとき、視覚が他の感覚よりも優勢です。

でも、聴覚の方が優勢だという人もいます。ほとんどの人にとって、聴覚は二番目に優勢な感覚です。
例えば目を瞑って、ほとばしる川を想像してみてください。
私の脳内の印象は、右から左へと大きな川で水が勢いよく流れ、シャーっという音とバシャバシャという音が聞こえます。
流れる川は常に音がでているものなので、そのような川をことをの思い出すと、脳が自動的に聴覚を呼び起こしてくれます。

この画像を見れば、あなたが目を使って音を聞くことができることを実感できるはずです。

続いて、更に他の感覚も入れて想像してみましょう。
さっきの川の川岸でしゃがんで(動作の感覚)、手を川の流れにの中に入れてみてください(触覚)。冷たい水を感じますか?(温度)そしてその水が指の間を流れていくのがわかりますか?(圧力)

メモ書き:ビジュアライズには特にルールというものはなく、使う感覚は自由なので自分にとって鮮明に感じられるものを覚えておくと良いでしょう。

主要な感覚を使ってビジュアライズする

ビジュアライズをするのが難しいと感じたり、単純に想像力と付けたい人は、これから紹介する練習法を実践してみてください。

これを実践すれば、あなたにとって一番優勢な感覚がわかり、そしてあなたの中の鈍感な感覚の精度を磨くことができます。

WILDテクニックを使って明晰夢を見ようとしている人にとっては、ビジュアライゼーションが明晰夢への切り替わるところを、よりスムーズにする助けとなります。

コツ:最初にこの記事を全部読み切ってから、横になり、目隠しマスクをして何度か深呼吸をしてリラックスしてください。何にも邪魔されないような環境で実践してください。

練習3 形を想像する

あなたの視界の真ん中に、円を想像してください。
特に色に指定はありません。ただ、の丸い形です。
輪郭だけの円でも、中が塗りつぶされているものでも構いません。
一番自然に思い浮かぶもので大丈夫です。

最初は特に何も見えないかもしれませんが、しばらく続けてみてください。

私の場合は目をリラックスさせると、うっすら蛍光色の円が見えてきます。
その円を思考の目で見ると、中は筒抜けでフラフープのような感じになっています。それを見ていると、それが回り始め、3Dで観察することができます。

あなたの丸はどんな動きをしていますか?もし全く動いていなかっとしても問題はありません。とにかく、丸というシンプルな形が見えているということが、ヒプナゴギアの状態でビジュアライズしている証拠です。

その丸を、今度は四角に変形させることは簡単なはずです。
そして三角にも、星形にも…自分が思いだそうとした形が瞬時に適応されるはずです。

蜘蛛の巣や雪の結晶など、更に複雑な形のもので冒険していくとヒプナゴギアに深くリラックスしていくことができ、ビジュアライズがより容易くなっていきます。ヒプナゴギアの状態が軌道にのると、どんどん勝手に形が進化していきますが、この練習では意図的に自分が見たいものにコントロールしていきます。

最初は本気で集中しないと意図した形が出てこないこともあります。そうでないときは、すぐに意図したものを想像できて、あたかもその物自体に意思があるようにも見えます。自分が「丸が見たい」という風に願った結果、丸がなんとなく見えてくるのは、あなたの視覚システムがあなたの考えを表そうと提示している証拠です。明晰夢の中でも同じ原理が働き、しかもそれは更に鮮明になります。

練習4 夢のシーンをビジュアライズする

まず、ウォーミングアップとして、シンプルな形をビジュアライズして、ヒプナゴジアの状態を軌道に乗せましょう。
乗りに乗ってきたら、そのイメージをビーチの景色などに変えていきましょう。

ビーチ

視覚

まずは水平線となる線を想像して、絵をスケッチしていくかのように、大雑把な線を想像していきます。

次に、ディテールを埋めていきます。雲、太陽、ヤシの木、といった具合です。脳内で色を再現していきます。平面的なイメージではなく奥行きが出るようにしてください。
レム睡眠中の時のように瞳を動かして、水平線の遠くを眺めてから、今度は自分の手を至近距離で観察すると、自分がその場にいる感覚になってきます。

聴覚

次に、海の音に耳を澄ませてください。海水がやさしく波打っています。
それ以外に何が聞こえますか?カモメの鳴き声や、風の音、笑い声、音楽も聞こえるかもしれません。
波の音は息のように続いて、鳥の鳴き声は断続的かもしれません。あなたが聴きたい音に注目していけば、少しづつそれが聞こえてきます。

触感

海岸に立つのはどんな感触がしますか?
砂の上に立っている足から始めてみましょう。温かく、足を揺さぶるとサラサラとしている砂を感じます。
つぎに、暖かい日光と、肌で感じる涼しい風にも注目します。
そして、爽やかな海の空気を吸い込むと同時に次の感覚もビジュアライゼーションに追加します。

臭覚

海の潮の匂いを吸い込み、じっくり味わいます。
それ以外にも、海を思い出させるような匂いを思い起こしてみてください。例えば、海藻の匂い、日焼け止めの匂い、ココナッツオイル等です。
幼い頃に海で食べたドーナツなんていう個人的な思い出を元にしても問題ありません。

味覚

そのドーナツがどんな味だったのかを思い出しながら、あなたは砂の中に少し足が埋まった状態で、目の前の綺麗な海を眺めています。
あの日食べたドーナツはチョコレートがたっぷりかかっていましたか?
もし、味を想像しているうちに唾が口の中に溜まってきたら、それは正しくビジュアライズできている証拠です。

その他の感覚

人間には五感以外にも、少なくとも5つの感覚が備わっています。
これらは時には目立たず、時には目立つものですが、きっとあなたにもあるものでしょう。

バランス感覚
関節感覚
加速の感覚
温度の感覚
痛みの感覚

このような感覚もビジュアライゼーションに加えてみてください。
優先順位は低いですが、五感のビジュアライゼーションの基本ができるようになったら、更に想像力に磨きをかけるのに役立ちます。

ビジュアライゼーションをマスターするには練習が必要ですが、上達のスピードは驚くほど早いものです。一回目か二回目でかなり複雑なビジュアライゼーションに成功することも十分あり得ます。それに、想像することは楽しいので、やりたくなったらいつでとやってみることをオススメします。

ビジュアライゼーションがうまく行けば僅か数分間で明晰夢に切り替わることもあります。逆に20分間くらいかかる場合もあります。もし、つまらなくなってきたり、心地が悪くなったら辞めましょう。イライラしはじめたら悪循環です。

たとえ直接明晰夢に繋がらなかったとしても、変性意識状態でビジュアライゼーションをすることはいい事です。明晰夢ではない普通の夢に確実に影響を与えるので、それが原因で夢の中で夢だと気がつくチャンスにもなるのですから。(「あ、ここは自分が想像していた場所だ!」といった具合に)