wildテクニックWILD(Wake Induced Lucid Dreamの略)は多くの人に最も強力な明晰夢テクニックとして認識されています。
それには二つ理由があります。ひとつは、自分の好きなタイミングで明晰夢を見ることができること。そしてもうひとつの理由は、夢の中で自己意識が起きるまでの時間がないので、とても鮮明な明晰夢が見れるということです。

このテクニックでは、脳は起きている状態で体を眠りにつかせます。そうすることによって、起きている状態から直接明晰夢に入ることができます。このテクニックは、体外離脱を研究する人も使っています。体外離脱は、実際の自分の体のなかから本物の自分が浮いてあがってくるような感じで始まりますが、明晰夢に入りたい場合は、単純にそことは別のシーンを思い浮かべるだけです。

WILDの基本

WILDテクニックの起源は、何千年前のチベットの仏教(ドリームヨガ)からきています。仏教ではこの行いが悟りを開くとされています。

宗教的にどう考えるかは関係なく、WILDテクニックを使うことによってすばらしい明晰夢を体験することが可能です。これは自然で本能的なテクニックであり、多くの子供は誰にも教わらずにやり方を身につけています。

WILDテクニックは4つのパートにわけられます。

1.肉体的&精神的リラックスする
2.瞑想状態に入る
3.夢のシーンの創造する
4.明晰夢へ入る

WILDテクニックを実行するのに最も適切な時間は、4~5時間の深い眠りの後で、体がとてもリラックスしていて、REM睡眠のサイクルが長くなっている状態で、見る夢が鮮明な状態です。普段ぐっすり寝るタイプの人はいつもより2~3時間前に目覚まし時計をセットしておくといいでしょう。普段から眠りが浅い人は、夜中に目が覚めたタイミングで試すといいです。また、夕方に疲れて昼ねをする際に試すのも効果的です。このとき脳は、足りていない分のREM催眠をとろうとしている状態なので、明晰夢に入りやすいのです。

ここからは、WILDテクニックで明晰夢を見る方法を説明いたします。

ステップ1 肉体的&精神的リラックスする

relax普段、ベッドに入って眠りにつくときを思い出してみてください。そのプロセスに、たった一ひねり加えるだけです。体が眠りにつくにつれて、自分の意識だけは起こしたままにするのです。これは不可能に思えて可能なことです。実際にできたときには、それがとても自然な感覚だと、逆に驚く人も居ます。

まず最初に、気持ちをリラックスさせる必要があります。そのためにまず仰向けになるか、長時間動かずに居られる体制で横になります。そして頭の中を空っぽにして、まぶたの裏の暗闇の中を見つめてください。もし頭の中に何かが浮かんできたら、ただそれを観察するだけにして、それを深堀りせずに、ただただその考えが通り過ぎていくのを見守りましょう。もしこのような瞑想状態に入ることが難しい方は、脳波音声を流しておくと効果的です。多くの人は瞑想するために脳波の音声を使っています。

ステップ2 瞑想状態になる

瞑想状態リラックスしてぼやっとした状態になれば、そのまま半分寝ているような状態になります。たまに、夜中に目がさめたときに既にこの状態であることもあります。体はとても落ち着いていて、意識がまた夢の世界に勝手に戻っていこうとしている感覚です。もし自分がその状態だと気づいたら、その流れを遮らず、明晰夢へのステップを進めましょう。

完全に起きている状態からこの瞑想状態に入るまでには、大体10分間くらいは黙って体を動かさずに瞑想を続ける必要があります。ずっと続けているとそのうちこの状態がやってくるので気長に待ちましょう。

瞑想状態に入ると、これまで見つめていた暗闇を色やパターンが覆ってきます。それを観察して、更に深い瞑想状態に入っていき、現実世界の感覚を忘れるレベルまでもっていきましょう。時には視覚的なものだけじゃなくて音楽などの聴覚的なものや、浮いているような感覚や、重力がちょっと傾いているような感覚になることもあります。そこから夢が発展してきますので、それをすべて受け入れましょう。

この間は常に体をリラックスさせてベッドに沈ませておくように覚えておいてください。完全に静止した状態で、どんどん体が麻痺していく感じを想像しましょう。少しでも動いたらアウトです。もし、どこかがかゆくなったら、かいてからもう一度最初からやり直しです。もし、自分の脳が自分との会話を始めようとしたらそれをすぐ止めます。変なことが頭の中で起こってもそれをなるべく受け入れるようにしましょう。結局は自分の脳が作り上げてるものなので、自分が精神科の研究者にでもなったつもりで、そーっと邪魔をしないように観察しましょう。

ステップ3 夢を発動させる

ここが判断をするタイミングです。既に十分にリラックスしていて眠りにつけそうだと思わなければ、そのままじっと待ちましょう。もし、なんだか夢の中に入れそうな気がしたら、夢を発動させるステップへ進みます。これを正しいタイミングでやることが非常に大切です。一度成功すると2回目以降はどんどん簡単になっていきます。

さて、この状態から夢を発動させるには二つ方法があります。
ビジュアライゼーション法と、体外離脱法です。

ビジュアライゼーション法

ビジュアライズ

頭の中で、適当なシーンを鮮明に、細かいディテールまで思い浮かべてください。瞑想状態へ新しくそのシーンを投入するのでもいいですし、すでに見えていたものをより鮮明に引き立てるのでも大丈夫です。
そして、そのシーンの真ん中に自分を置くイメージで、落ち着いてゆっくりと周りを観察してください。できるだけ、自分がそのシーンに本当にいるような感覚にもっていきましょう。

もしあたながミュージシャンであれば、聴覚が優れているかもしれません。ビジュアルに集中するのではなく、音に集中して、そのシーンで発生であろう音をよりリアルに想像することでも、同じ効果が得られます。

この間、常に「自分は夢を見ている」と自分に言い聞かせるようにしましょう。まだ夢じゃないとわかっていてもです。そのうち夢になりますので、こうしておくことで夢の中に夢だと認識したまま入れます。

このとき意識は、現実に横たわっている身体と、夢の中にいる意識の両方を認識していますが、現実の身体のほうを手放して、夢の中の身体へと意識を移していきましょう。
そうすると、もうベッドで寝ている自分が居なくなり・・・そうです、この瞬間にあなたは夢の中に入ったことになります。
おめでとうございます!笑

夢に入りきる瞬間がハッキリとした境目に感じる人も居ます。夢に入ったら寝ているはずの自分の身体の感覚は遠い昔のように感じます。

そしてそれは間違いなく明晰夢だという証拠です。

体外離脱法

体外離脱たまに最初の瞑想状態に流されて、自分の意識よりも先に身体が眠りについてしまうことがあります。そのとき、意識が最後に見ていたその部屋以外の行き場所を失い、自分が寝ている状態の夢を見ることになります。人によっては身体が動かなくなることがあり、それがいわゆる金縛りです。

金縛りになったことある人はわかると思いますが、目に映る景色が夢とは思えないほどリアルです。自分のがいる環境に、眠りにつく直前との変化があまりにもないために、起きているものだと勘違いしたり、または、本当の体外離脱をしそうだと感じます。でも勘違いはしないでください。科学的にもこれは単なる「とても鮮明な夢を見ている状態」でしかないことが証明されています。

この状態に移る際、人によっては感じるサインがいくつかあります。全く何も感じずに金縛りになる人もいますが、これから書くようなことを感じたらそれをヒントに夢だと気づいてください。

  • 寝ている身体の感覚自体はあるのだけど、動かすことができなくなります。かけている布団が自分の上で動いているように感じじることもあります。でも、これに逆らう必要はありません。これは明晰夢の始まりです。
  • 何かの振動や、「ビリビリ」とか「ゴロゴロ」という感じの音が聞こえます。電気っぽい音だったり、脳がバイブレートしているように感じる場合もあり、頭が爆発しそうだと思うかもしれません。でも痛みは感じず、ただうるさいだけです。これも明晰夢の入り口といえます。
  • 何かに対して恐怖を感じます。金縛りの際は「恐怖」を感じさせる脳のパートが活発に働きやすいので、怖くなってもそれは脳の所為だと言い聞かせてください。ポジティブに考えていれば、悪い夢にはなりません。逆に恐怖に集中していると幽霊などの怖いキャラクターを自分の夢に召還してしまうこともあります。結果は自分の意識次第だということを覚えておきましょう。

この時点で、自分が夢を見ているということを受け入れると、身体を抜けだすことができるようになります。自分がいる部屋は驚くほどリアルですが、すべて自分が寝る前の記憶によって形成されています。

これは少し変な感じがします。眠気がないので、目が覚めたものだと勘違いするかもしれません。なので、ここでもリアリティチェックをすると良いでしょう。常日頃から目が覚めた直後にリアリティチェックをするよう習慣付けておくと便利です。そこで夢だと気づかなければ、二度寝の感覚でまたすぐに眠りに戻るという、もったいないことをしてしまう可能性が高いです。

ステップ4 明晰夢に入る

deeperdream最後のステップでは、明晰夢の中に意識をもぐらせて、夢から簡単に覚めてしまわないように夢を安定させます。

ビジュアライゼーション法を使った場合は、そのまま夢の世界を観察しつづけ「自分は夢を見ている」と自分に言い聞かせてください。そしてリアリティーチェックを行い、夢だという認識を深めます。そうしているうちにその世界が確立されていき、ベッドに横になっている自分の身体の感覚がなくなります。

体外離脱法を使った場合は、体外離脱をしたつもりになっているので、寝ている方の身体を忘れることができるとベストです。この「寝ている自分が別のところにいる」と感じる状態は体外離脱法特有のもので、現実から夢に入る境目を感じなかったがために脳が混乱して起こるものだと考えられています。

体外離脱法で身体が動かずに金縛りにあった場合は、当然手足を動かすことができないので、ベッドの中に沈もうとするか、宙に浮こうとしてみてください。大きなブランコで、すごく高いところまで上がった瞬間の、お腹がムズっとするときの感じを思い浮かべると、その感覚が自分の身体から抜け出させてくれます。

もう一つの方法として、完全に新しいシーンを想像してみてください。金縛りの状態であれば、新しいシーンにテレポートすることは比較的簡単です。

もし金縛り状態で、他に人物などがその場にいる場合、その人物に身体から抜け出すのを手伝ってもらえるようにお願いするのも効果的です。その人物がどれだけ怖かろうが、受け入れてあげましょう。結局は自分が作り出したもの、すなわち自分自身の投影なのですから。

自分の意識で移動ができるようになれば成功です。

≫次項CATテクニックで明晰夢を見る