明晰夢に対してなんとなく恐怖をいだいている人は少なくありません。
明晰夢は危険なのでしょうか?やりすぎると頭がおかしくなってしまうのでしょうか?夢と現実の違いがわからなくなってしまうのでしょうか?このような疑問を抱くことは自然なことです。

他のサイトなどで若干話題になっている明晰夢の危険性に対して、なるべくニュートラルな視点から説明をしていきたいと思います。

まず最初に紹介したいのが、アメリカのLucidity Institute(明晰夢の研究所)が公開している文章です。
情報ソースはこちら

リアルな明晰夢で悪夢になったら怖すぎる?

明晰夢の大多数はポジティブで価値のある経験です。
何度も見たことのある同じ悪夢の中でさえ明晰になれば、習慣になっている「恐怖」を意図的に「勇気」に切り替えることができます。ただ単純に明晰になっただけでも、その瞬間に悪夢を良い夢に変わってしまうほどのムードチェンジが自然と起こることも珍しくありません。
明晰夢が夢のムードに与える影響に関しての研究で、明晰夢では悪夢が更に悪化するよりも、その7倍の確率で良い方向に夢が変わるという結果がでています。

明晰夢の悪夢は怖すぎる

夢の中で死んだら、現実世界でも死んでしまう?

よくある心配として、夢の中で死ぬと現実でも死ぬのではないかというものがあります。
もしこれが本当だとしたら、どうやってそうだとわかるのでしょうか?
夢の中で死んだことによって現実でも死んでしまったら、それを本人が伝える手段はありません。
一方で多くの健康な人は正常に目が覚めたあとに、夢の中で死んだ経験を語ります。
それだけでなく、死にまつわる夢は生命や超越について洞察深い体験となることもあります。

夢の中で死んだら

夢は神秘的なメッセージなので、そっとしておくべき?

ある人たちは、夢は無意識の心からのメッセージとして、意図的に変えようとしてはならないと言います。
しかし近代の研究によると、夢はメッセージではなく、世の中のモデルだということがわかっています。
起きている間は、五感で感じる情報が世の中を支配しています。
夢の中では身体は活動できなくなり、脳が二次的な源泉を元に世界のモデルを作り上げます。
二次的な源泉とは、予想と、動機と、期待です。
これらの考えは起きている間は特定しずらいので、我々個人の考えによって作られた世界、つまりは夢の世界は、自分たちの考えに気づかさせる手助けとなります。つまり、夢はメッセージというよりは我々の心の中の仕組みのヒントのようなものだと言えます。
意識的で最上の自覚を持って明晰夢を見ることができれば、思慮深く夢を解釈することができるでしょう。

夢は神秘

明晰夢には中毒性がある?

明晰夢はあまりに楽しく快感に溢れているので中毒になって残りの人生を眠って過ごすことにならないかと心配する人もいます。
これは生物的に無理があります。というのは、我々には限られた時間しかREM睡眠がとれないからです。
寧ろ、明晰夢は現実世界をより楽しいものにするための現実での行動を鼓舞してくれるものです。

夢の中毒性

ほとんどの方の心配はここまでの説明で解決されたのではないかと思います。
次に、Lucidity Instituteの文章では取り上げられていない、精神病と明晰夢の関連性について説明を致します。

明晰夢は精神病をもたらす?

最近では、明晰夢が有名になってきていた影響か、明晰夢は精神病をもたらすという噂があります。

最初に明記すべき点として、明晰夢が精神病をもたらしたというケースは一つも報告されていません。
むしろ、最近の研究ではトラウマ的な出来事の後などに精神を安定させて回復する力に直結しているということが判明されています。
また、明晰夢は医学的にも悪夢の対処法として使われており、多くの心理学者も人の成長と問題解決能力の向上を促すために明晰夢を薦めています。

ではなぜ明晰夢は危険だという噂が流れるのでしょうか?
一つにはネット上に上がっているデタラメの記事が上げられますが、それ以外にも論理的な誤信もあります。

明晰夢が精神病をもたらすのではないかという誤信の発端は、痴呆症の人と明晰夢を見る人は共通して幻覚を見るということでしょう。
その幻覚とは、ヒプナゴギアといって、誰でも入眠時に瞼の裏で見ているものであって、意識さえすればよりハッキリ見ることができます。

精神病になっている人は、睡眠障害を持ちやすく、入眠時にも意識がはっきりしていることが多いです。
明晰夢を見ようとする人は、意図的に意識をはっきりとさせたまま眠りに就こうとするので、精神病の患者と同じような状況になり、必然的に同じような体験をすることになります。

これまでの事例から、入眠時に幻覚を見るということは、精神分裂病の類の病気の超早期症状とされています。
多くの場合、実際の病気の症状が現れる数年前から始まるそうです。
そのため、”ヒプナゴジアの幻覚を見たことがあるかないか”は、精神分裂病を持つ家系で、子供が大人になったときに病気になるのかを予想するための基準とされてきました。

ですが明晰夢を良くみる人なら解ると思いますが、WILDテクニックを実践するとヒプナゴギアの幻覚は誰でも見れるものです。
なのに今でも精神病科医はヒプナゴギアの幻覚や金縛りを精神分裂病の早期症状とし、実際は完全に健康な人間に対しても誤って診断をすることがあるようです。

明晰夢と精神病の関連性

目が覚めたと思ったら夢だった。の無限ループは存在する?

最後に、明晰夢を見すぎると、夢と現実の違いがわからなくなるのではないかという考えについてです。

「夢から覚めたと思ったら、実はまた夢だった」というような経験はありますか?

明晰夢は目が覚める直前や目が覚めた直後に二度寝したときに見やすいので、このように目が覚める夢を見ることがあります。
普通に目が覚めたかと思って起き上がり、トイレのドアを開けるとそこには広大な海が広がっていて夢だと気づき、目が覚めたと思ったらまた夢だった…そして永遠に夢のループから抜けられなくなったなんていう悪夢ファンタジーを想像してしまってもおかしくありません。

明晰夢を見たことがない人からしたら、これは怖いでしょう。
でも、本気で夢か現実かわからなくなったら、それは夢です。
明晰夢を見たことがない人は、現実さえも夢と勘違いしはじめるのではないかと心配しますが、実際そんなことはありえませんので安心してください。

このように、「目が覚める夢」自体を最初から見ないようにする方法もありますので後々紹介したいと思います。

夢から覚めれない?